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トップを飾った写真に関するコラム
令和5(2023)年
3月
土筆(ツクシ)(3月22日更新)




ツクシは、3月頃土手や道端に顔を出します。ツクシが枯れた頃、スギナが同じ地下茎から伸びてきます。
つまり地下茎からは、二種類の茎を地上に出すのです。一方は胞子茎のツクシで、もう一方の栄養茎がスギナです。このように2つの名前を持つ植物ですが、学術的には「スギナ」が標準和名となります。
スギナは「杉の木」をイメージする形状からスギナと名付けられたようです。このスギナは胞子で増えるシダ植物ですので、胞子が発芽し、雄と雌の前葉体が作られます。さらに、雄の前葉体では精子が、雌の前葉体では卵が作られ、精子が泳いで受精し大きく育つことでスギナになります。増え方としては、受精以外に、地下茎から芽を出し増えることもできます。地下茎は切断されるとそこから発芽する性質があますので、スギナが生えている畑に耕運機をかけると一気にスギナが広がってしまうため、駆除するのは困難な雑草といわれています。
卒業時期の桜 (3月13日更新)
「春めき」桜は、2000年に品種登録された
神奈川県南足柄市固有の桜です。登録された当初は、「足柄桜」の名で登録されました。 「染井吉野」が入学式の桜としてのイメージが強いですが、「春めき」桜は卒業式の時期に咲く桜として人気が出て全国に広まっているそうです。
今年は、どの桜も開花が早く、2月で紹介した西平畑公園の河津桜は「松田さくらまつり」が2月11日〜3月12日まで開かれていましたが、早くも3月6日には散り始め、最終の土日11日・12日は完全な葉桜でした。
今回の春めき桜も、3月6日〜21日に「春木径・幸せ道桜まつり」が開かれていますが、3月10日にはほぼ満開状態でした。その時の写真を今回使用しました。
サクラの蜜腺(ミツセン)

蜜を出す器官を「蜜腺」といいます。桜の蜜腺は、花の中(花内蜜腺)だけでなく葉にもあります(花外蜜腺)。右の写真の丸の中の2つの出っ張りがそれです。
桜の葉には、サクラケムシ(モンクロシャチホコ)やアメリカシロヒトリが大量発生することがあります。これらの毛虫(ガの幼虫)は、桜の葉をあっという間に食べていきます。
花外蜜腺から分泌される蜜を求めてアリが集まってきます。アリを誘引することで、昆虫やその幼虫の食害から大切な葉を守っているのではないかといわれています。
2月
サクラ (2月22日更新)
今回の写真のカワヅサクラは、なかなか散らないイメージがあります。サクラの花の寿命を調べてみました。
- 染井吉野……開花〜満開までおよそ1週間程度 満開から散るまで4日〜1週間程度
- 八重桜………ソメイヨシノから1週間程度後に開花 ソメイヨシノより散るまでの期間が長い
- 河津桜………2月上旬に開花し中旬に満開 開花から散るまで1カ月程度と、咲いている期間が長い
花が散るのは (2月22日更新)

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花びらの根元に離層という細胞層が形成され、それまで付着していた花托(かたく)から花びらが切り離されるからです。しかし写真の左下ように花ごと散っていることがありますが、花ごと毟る犯人は誰でしょうか。容疑者は下の写真です。
鳥の名前は、左からヒヨドリ・スズメ・メジロです。 ヒント:蜜がほしいのだけれども・・・・・




桜の花の蜜は、左の緑の丸の内部にあります。桜によく集まるヒヨドリやメジロは、くちばしが細く桜の花の中心に差し込むことができますが、スズメはくちばしが太いため蜜まで届きませんから、花をちぎって蜜をなめているのです。
植物は蜜を出すことで虫や鳥などを集め、受粉を手伝ってもらいます。しかし、スズメの蜜の舐め方では受粉の助けになりません。ただ蜜をなめるだけなので「盗蜜」とよばれています。
ウメ・モモ・サクラの花の違い



「ウメ」・「モモ」・「サクラ」春に咲くこれらはすべてバラ科で花びらの数も5枚の花が多い。
……花を見て区別がつきますか?
開花時期 | 花びらの形 | 花柄(花梗) 花と枝の間の緑の茎 |
花の咲き方 | |
---|---|---|---|---|
ウメ | 2月上旬から | 先が丸い | 無し | 節に花は1つ 枝にへばりつくように咲く |
モモ | 3月中旬から | 先がとがっている | 緑色の花柄が短い | 節の付け根から2輪の花が 上や下などさまざまな 方向を向いて咲く |
サクラ | 3月下旬から | 先に切れ込みがある | 緑色の花柄が長い | 1つの節からたくさんの花が、下を向くように咲く |

1月
2つのホトケノザ


- TOP写真のホトケノザ(左の写真)は、「仏の座」と漢字で書かれるように、葉の形が仏様の台座(蓮座)のように見えるというのが名前の由来だといわれています。
ホトケノザの花をそっと引っぱると簡単に花がはずれます。花の根元は筒状になっていて、その部分をなめたり吸ったりすると甘い蜜の味がします。蜜はなめられますが、本体は食用になりません。 - 「春の七草」にもホトケノザがでてきます(セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロ)。しかし、春の七草のホトケノザはコオニタビラコ(右の写真)のことです。このホトケノザの名前の由来も、コオニタビラコの葉がタンポポの葉のように放射状に広がる様子が、仏様の蓮座のようだというところから付いた名前だそうです。
春先の柔らかい新芽や若葉が食用になります。 - サルビア、
ツツジ、ムラサキツメクサ、スイカズラ、サツキ、オシロイバナ、レンゲソウ、ヤブツバキ、サクラ などの植物が、昔の子ども達によく吸われていた植物です。しかし、厚生労働省の「自然毒のリスクプロファイル」によると、『ツツジ科の植物には毒をもつものが多く、蜜にも毒性成分があることがあり、注意が必要』とあります。また、『ハクサンシャクナゲ』『セイヨウシャクナゲなどの園芸種』『レンゲツツジ』等の植物名を具体的に挙げ、注意を呼びかけています。
「自然毒のリスクプロファイル」:
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/poison/index.html - 調べてみたところ、高原にもともと生えていたレンゲツツジですが、園芸用の品種もあり身近で植栽されている可能性があります。こどもの事故防止のために、ツツジの花の蜜は秘密にしておいた方がよいかもしれません。また、見分けがつかないのなら、サツキの花の蜜も秘密に・・・・。